愛や苦悩から多くを学んだ柳作が、大きく飛翔するまで
人格を形成した環境
父は早く亡くなりましたが、幼い頃は母や兄姉から受けた慈愛と故郷の懐深い環境の中で、柳作はのびのびと育っていきます。
何事もまっすぐに受けとめて育った柳作は、やがて豊かで鋭い感受性を育くみ、それが後年の大きな原動力となって行くのです。
強さを培った " 試練 "
第一次世界大戦を背景に困窮を極めていた母子だけの生活。
母は力尽きて柳作を学校に通わせることが困難になってしまいます。
無念の心をぐっとこらえて柳作は即刻金沢市に職を求め、丁稚として造り酒屋で奉公することになります。
過酷な運命の始まりで、生きることの厳しさを知ったことで、母の苦労を心から理解し、真に深い感謝の念に気づいた15歳でした。
カバンとの運命的な出逢い
柳作の厳しい仕事を見かねた長兄が大阪に呼び寄せ、母とふたり大阪に移転します。そして次の仕事を探しに街に出た時、そこには柳作の一生を決める運命が待っていました。加藤忠商店の「少店員募集」の木札にこそ柳作のカバン一筋の道が秘められていたのです。
かくして柳作は大阪のカバン店で天職と思うカバンとの出逢いを果たし、商売の基本を学び、努力を積み重ねて起業への道のりを歩き始めます。