「世界のカバン館」を開設
1958年(昭和33年)に西ドイツ・オッフェンバッハの皮革博物館を見学した私は、その素晴らしいコレクションに深い感銘を受け、いつかは日本でも世界の優れたかばんを一堂に集め、多くの方にご覧いただきたいという夢をもつようになっていました。
その想いから、私は海外での商談の合間を縫っては時間を惜しまず、珍しいかばんを買い求め続けました。中には船便で送った掘り出し物のかばんを船の火災で失ったり、水害で水浸しになったりと、身を切られるような辛い出来事もありました。
また、古いカバンは商品として売られていないので、収集には多くの人のご協力を必要としましたが、米国のカバンメーカー社長が、業界誌に私のことと古いかばんの提供を呼びかけてくれたこともあり、徐々に集まりはじめたのです。
世界30数カ国から収集したカバンが300点を超えたころ、そろそろ皆さんにご覧いただいても恥ずかしくないのではと思った私は、1975年(昭和50年)、東京店に「世界のカバン館」をオープンしました。のちに「世界のカバン博物館」と改称し、集まったバッグも550点にのぼり内容も一層充実しつつあります。