新川柳作記念館 Ryusaku Shinkawa Memorial

ACE

安心して使っていただける商品つくり

創業まもない頃の応接室(昭和15年)

当時、代用品の製品はすべて業界の査定委員会の厳正な品質検査を受けて、品質ランクごとに販売価格も決められるというやり方でした。

私たちが作ったカバンは他社と比べても二級品として立派に通用するが、組合への提出では三級品となるのです。二級品なら二十三円十銭、三級品は十六円十銭と販売価格は七円も違うのです。再審査を要請する時間の余裕が無く、それでそのまま店頭に出しましたが、結果は明らかでした。お客様の目は常に鋭い。他社の二級品と査定された商品より、三級品と査定された私たちの商品の方がよいので大変売れ行きもよく納入先の仕入れ担当の皆様も感心され、信用も一段とつきました。

私たちの作るカバンは、社是にもなっていますが、使う身になって創意、工夫します。行き詰まるとまた工夫し、満足のできるまで作り替えます。

品質よりも量、さらに売れさえすればよいという考えで、粗製乱造を地でいく商品も数多く出回っていました。しかし、そうした時代であったからこそ、消費者に安心してお使いいただける商品を、と私の商売の信条を固く守り続けさせていただきました。