ゴム剥離問題に追い込まれて、八方ふさがりの状態が続くこの頃に、吉川英治先生から「朝の来ない夜はない」との教えを頂きました。「難題に挑戦している今こそまさに夜なのだ。頑張れ、必ず夜は明ける」と、その言葉に勇気づけられ、「東レさんのナイロン開発のご苦労に比べれば、私が今抱えるこの問題は些細なこと」と自分を奮い立たせました。さらに小学校６年の頃に恩師の平先生から学んだ「至誠通天」の教えも思い浮べ、「商品を完成させて世に広めることが私に与えられた使命。東レさん、日精商事さんに喜んでいただくためにも、一日も早くこの問題の解決をしよう」と、協力工場の皆さんを励ましながら試行錯誤を繰り返しました。

しかし皆さんの必死の取り組みにも関わらず、ゴム剥離の問題はいっこうに解決の兆しをみせず、ゴム風化のなどの失敗が続きました。