東レナイロンエースバッグ発表展示会
1954年(昭和29年)3月3日は、昨日までの強い寒波が薄れて、春風のどかな絶好の日和になりました。午前9時、大丸大阪店の担当課長さんが笑顔で一番乗りされ、次いで大阪商工会議所会頭が「よい天気になったね、コートなしで来たよ」と声をかけてくださり、胸にジーンと響きました。
続いて大阪府知事、大阪通産局長をはじめ行政の方々、京阪神の各デパート・専門店の皆様、遠くは九州からお得意先をお迎えしました。知事からは「国産の原材料で優秀な製品を作り、世界に貢献を」と、局長からは「幼稚園児から大学生まで、ナイロンバッグを持たせるように」との言葉を頂戴しました。米国・メイシーデパートの極東仕入部長がご夫妻でお見えになったことも喜ばしいことでした。多くの方が閉会となる午後4時まで、熱心に展示をご覧くださいました。
展示品を会場から運び終えた午後5時頃のことです。閉会を待っていたかのように勢いよく雨が降り始め、翌日は益々風雨激しい天候となり、まさに展示会の時間帯だけが天候に恵まれるという奇跡的な出来事が起きたのです。