１９５２年（昭和２７年）、日本は戦後の支配下から独立国家として新しい道を歩み始めていました。私はこれから東京が日本経済の中心的役割をますます強めて行くことや、大阪の大丸さんと十合 そごうさんらも東京進出を決めておられる事、そして東京三越さんから「東京に御社の店舗が出来たら大阪同様に取引するから」との言葉を頂戴していた事からも、早急に拠点となる店舗を求めていたのです。

１９５２年（昭和２７年）１２月、東京都足立区の協力工場に出向いた折、店舗の相談をしたところ、台東区浅草桂町の空き家物件を紹介いただき、早速その足で訪ねました。物件の隣が大家さん宅ということでその場で話がまとまった上、棟梁まで紹介下さり、その方に店舗を新築してもらう事にしました。良いご縁を頂き、運良く一日で何もかもが決まり、本当に感謝でいっぱいでした。