小田原工場建設とエースカバン株式会社の設立
1960年(昭和35年)7月、エースカバン株式会社(現エースラゲージ株式会社)を設立し、3年目には工場が手狭となり東京近郊に新工場用地を探していたところ、神奈川県足柄上郡開成町から耳よりな話が届きます。開成町は足柄平野の中央にあり田園小都市で交通の便も良い地です。早速に町を訪ねたところ工場誘致もあり積極的な協力を受け、約3300平方メートルの用地を提供いただきました。
そして、1964年(昭和39年)6月6日、鉄筋コンクリート2階建、総面積2657平方メートルという日本初の大規模かつ近代的なカバン工場が竣工しました。「こんなに面積が必要なのか」と思わせる程、当時のカバン工場としては大きな建物です。既に工場長と社員12名、現地採用の60余名にてサムソナイト・アタッシェケースを生産予定でした。ところが1964年(昭和39年)9月15日に、サムソナイト社との技術提携が締結されたことで、急遽サムソナイト・スーツケース「シルエット」の生産に切り替わることになったのです。しかも、日本のカバン業界では初めての成型品スーツケースの生産でもあり、工場スタッフの苦労は並大抵のものではありませんでした。