サムソナイト社と技術提携へ
1963年(昭和38年)8月1日2回目となるアメリカ・欧州視察に旅立ちました。目的は、1960年(昭和35年)4月15日に締結したサムソナイト社との日本での販売総代理店契約をさらに進め、サムソナイト社製品を国内にて生産可能とする「技術提携」を結ぶ事でした。
この技術提携の契約については、サムソナイト社のエメット・ハイトラー副社長をはじめ、関係各位が熱心に取り組み、その契約内容はお互いの会社の利益を守るため慎重に検討されました。アメリカではこのような契約には法律専門家を交えることが一般的で、私へも同様の方法を求められましたが、私は「契約は貴方の方で損のないよう完全なものをお作り下さい。内容は一切をお任せいたします。その履行については私が全責任をもって、全ての条項を忠実に守ります」と申し上げ、すべてサムソナイト社に一任しました。5年前の初訪問以来、同社幹部の方々を深く信頼していたこそ出来た、東洋風の腹芸といえるでしょう。
そして1964年(昭和39年)9月15日、晴れて技術提携が結ばれました。