船場商業実践学校夜間部に入学
加藤忠商店社員は自己研磨の精神に富み、向上心に燃えていました。
そうした雰囲気の中にあって私の思いは、郷里の同級だった友が、中学校(旧制)を卒業して社会へ出てくるということです。これらの友は学問をしてくるのです。自分はどうであるかと、自問自答しました。それでは私は現在の仕事を1日も早く熟知して身につけることだと結論に達しました。彼らが入社する頃にはこの道のことを十分身につけておこうと決意しました。日々1分1秒を惜しみ大切にしました。
幸いにも入社1 年を過ぎて、私は近くの大阪市立船場商業実践学校への夜間通学が許可されました。これは当時の船場で、優秀と認められた者に対する特別訓練といえるものでした。今度は先の金沢中学校へ通った少年の頃と違い教室で居眠りをするようなこともなく、商人としての将来を考え、珠算、習字、商業関係の初歩的な学問、商業簿記などに力を注ぎました。
昭和8年3月22日付の同校卒業証書をいただきましたが、新川勝義の旧姓名の上部に「精励」の2文字が捺印されていました。私なりの努力が認められたことをうれしく思いました。