１９５８年（昭和３３年）９月１０日、海外に新たな販路を求め、私と通訳係の親友の二人で、アメリカ・欧州・中近東・東南アジアを巡る視察に旅立ちました。

アメリカでは、サムソナイト社（当時シュワイダーブラザーズ社）宛の挨拶状に初対面でも印象に残るように「東洋の日本から太平洋を越えアメリカ大陸へ。そして今ロッキー山脈を越え、戦後最初の日本人訪問者となる私たち二人が、今あなたのもとへ参りました」と一工夫。面会くださったディーゲンさん（当時副社長）に手渡したところ「東洋からよくおいでくださいました。我々はお二方を歓迎します。我々の会社に秘密はありません」と快くお迎え頂いたのです。ナイロンバッグのサンプルをお見せし、経営理念をお伝えすると、その場で３万個の大量注文を頂き大変驚きました。また、「汝の欲するものを他に施せ」（聖書）を会社の黄金律とされていることに感銘し、ご一緒に仕事をしていける思いを強くしたのです。

エースにとって大きな転機となる、３か月にわたる世界一周の旅でした。