頭痛のタネ
1953年(昭和28年)2月に開設した東京店は、木造2階建、約100平方mの小さなものではありましたが、東日本進出の橋 頭 堡 を築く事が出来て、社員の士気は大いに上がりました。株式会社に改組して3年目のことです。
でもこのとき私は、あることで頭を抱えていました。
念願であった東京での拠点を築き、三越さんと取引頂ける体制が整いましたが、ご商売をされている地元同業者の皆さんからすると、私は地方から進出する一カバン業者に過ぎません。
後発の私が地元同業者の皆さんと争う事なく、仲良く商売をさせて頂く為には、「市場でのカバン製品競合は、何がなんでも避けなければならない」という強い思いにかられるものの、解決策を見出せずにいたからなのです。