近代的経営
加藤忠商店は新しい時代に即応して、経営の改善を考え、それをすぐ実行に移すという進歩的な会社でした。
当時、船場では商家勤めは“奉公” であり、現在の雇用関係とは違っていました。朝早くから夜遅くまで働くことが普通でした。
しかし、加藤忠商店はひと味違う会社でした。他の会社や商店が、閉店後も遅くまで働くという古い習慣から抜けきれずにいるのに、加藤忠商店では朝8時始業、夕方6時終業を厳守されていました。また食事も3 食とも仕出し弁当で、土曜と休日の日曜には食費も割り増しされるなど、従業員の食事は素晴らしいものでした。勤務時間といい、食事といい、船場の他の会社や商店に比べるとまるで違って優良会社でした。造り酒屋の丁稚奉公時代に味わった労働や食事と比べても、天と地の違いがありました。