１９６６年（昭和４１年）９月１０日、エースカバンの第２工場ともいうべき、エースカバン豊岡工場（兵庫県豊岡市、建物面積７２６平方メートル）が完成します。

この用地も、実に不思議なご縁からお譲り頂くのですが、建設地を求め現地（かばん団地等）を廻っていた時のことです。朝から先日よりの強い雨で、半ば土地探しを諦め、ある軒下で雨宿りをしていますと、同じ軒下にいた青年が、「ああ、昨夜の雨で田んぼに土砂が入ってしまい、もう使えなくなったなぁ」と独り言をいっているのです。私はその土砂という一言にハッとし青年に尋ねると、彼は「昨夜の大雨で山が崩れ、田んぼに大量の土砂が流れ込んだのです」「それは大変ですね。その現場を一度見せて下さいませんか。場合によっては譲っていただきたいのです」と伝え、彼と現地に向かいました。確かに、大量の土砂が田んぼを埋め尽くし、手の付けようが無い有様でした。私は工場用地を探していることを説明し、土地の譲渡を頼んだところ彼は快く応じてくれました。

こうして思いがけずに工場用地が決まったのでした。ご縁の不思議さ、出会いの尊さをしみじみと感じた出来事でした。